という願いを込めた「TAMAMONO」
男女あらゆる世代の方に、シルクを身につける安心感と心地よさをお届けしたい。
さらにその拡販により日本のシルク産業の復興の役にたちたいと思っております。
=「TAMAMONO」ができるまで =
シルクに救われたアトピー時代
シルクで肌着を作るきっかけは、代表加藤がアトピーに悩まされる幼少、青春期を送ってきた経験からです。さまざまな治療や、生活習慣の改善を試みる中、もっとも肌に一番近く身につける肌着を見つける事はとても大変でした。肌に優しいと言われるコットンの肌着でさえ、肘を伸ばすだけで皮膚が裂けるほど症状が悪化している時には刺激を感じ、それがまた痒みにつながるという悪循環の中、唯一シルク製の肌着がそのストレスから解放してくれました。 大人になるに従い、少しずつ改善していたものの、2度の妊娠・出産で再び症状が悪化。その時にも快適に着用できたのはシルク肌着でした。健康な肌で心穏やかな妊娠生活を送りたい。生まれ来る我が子をシルクという本物の素材で包んであげたいと思いながらも、シルクは洗濯などの取り扱いが難しく、日常的に使うには敷居の高い素材でもありました。
SHIDORI®との出会い
しかし、今から1年半前、シルク100%にもかかわらず、綿や化繊と同じように洗濯機で洗えるという新素材「SHIDORI®」と出会いました。すぐに開発元の株式会社山嘉精練様にコンタクトを取り「御社の生地でエプロンが作りたいから売ってください」と伝えたところ、返ってきた答えは「難しい」という一言。どうしても引き下がれずご面会をお願いしてお話を伺う中でその難しさを理解することとなりました。 というのも、日本製のシルク生地において、いつでも注文すれば買える在庫生地はほとんどなく、糸を発注、加工し、希望の仕様で編み立ててはじめて生地になるという生産の背景があるからです。そこからは同じ糸偏にいながらも経験したことのないことの連続でした。 お蚕さんが生まれてからシルク製品が出来上がるまで、おおまかに数えても8つの工程があります。(養蚕→製糸→撚糸→精練→染色→絹織→整理加工→縫製)「できる限りの工程を日本でおこないたい」という一念で、試作の完成までに想像以上の時間を要することとなりました。
縫製工場との出会い
本製品の縫製については、下着のノウハウを持ち、特にベビー用品において「ホルムアルデヒドを検出しない」などの厳格な規定をクリアできる工場を見つける必要がありました。10件近く問い合わせするものの、ベビー用品を作れない、シルクを扱いたくない、ロットが合わないなど良い返事をいただく事が出来ませんでした。そんな中、唯一快諾してくださった工場様とのお取り組みで製品開発の道が開けました。シルクの縫製には通常よりミシンのスピードを落として慎重に縫い上げる技術が必要とされます。「TAMAMONO」は奈良県の工場にて熟練の職人が一枚一枚丁寧に縫い上げてくださいます。
良い物を長く使いたい。ママ目線の製品企画
「生まれ来る我が子とすべてのあかちゃんに本物を届けたい」という思いで、一番最初にデザインに着手したのはベビー用の産着でした。 「SHIDORI®」を施すことで、綿より優しく、綿より強く、長く着られる「たまもの」のシルク産着。しかし、そもそも半年ほどしか着ない産着には高価でもったいない仕様です。そんなジレンマの中、加藤が何気なく5歳長女に0歳次女の産着を着せてみたところ、少し工夫をすれば0歳から5歳まで着られることが分かりました。試行錯誤のうちに生まれたのが「ロングライフベビー肌着」です。
今後も、「TAMAMONO」は肌に寄り添う、上質で使う人の立場に立ったデザインを目指してラインアップします。
=「TAMAMONO」の描くシルクの未来=
お取り組み先様との関わりの中で、皆さんが口を揃えておっしゃることには、日本において育まれてきた絹加工技術が、需要の減少と職人の高齢化、廃業などにより失われつつあるとのこと。生地に仕立てる機元やニッターさんも、デリケートなシルクの取り扱いに長けた産地はもう数えるばかりとなっている状況です。シルク産業が失われつつある原因はさまざまですが、日常生活における取り扱いの難しさで人々が離れていったというのも一因としてあげられます。
しかし「SHIDORI®」によりその難点が解消されたいま、伝統と先進技術を生かした製品により、シルクの素晴らしさに再び光を当て、シルク需要を回復できるのではないかと思います。 「伝統にあぐらをかかずに、常に使う人の立場にたち、現代生活に即したシルクであれるよう、さらに進化を続けたい」という、山嘉精練山内社長様のお言葉に感銘を受けました。技術は技術のままでは世の中に広がることはなく、それを製品化しなければ手に取っていただくことも出来ません。私の役割は山嘉精練様の技術とお客様の笑顔の橋渡しだと考えます。 エプロン事業を通じて出会った究極のシルクですが、辛い経験があったからこそ、同じ悩みを持つ方に製品として届けられるのは私しかいないという使命感を持っています。 素材の特性だけでなく、開発への思いを含め、製品化するパートナーとして、シルクの素材としての可能性を開拓し、現在ではシルクを苦手とする製品などでも積極的に用いることで、技術の保存・発展の役に立ちたいと願っています。